石垣旅3日目。今日は西表島へ行く。
石垣島の周囲には小さな島が散在していて、2泊以上するなら1日は船でどこかに行くのがオススメだ。
私たちは竹富島と迷ったが、「西表島の方が、今行かないと、一生行かない気がする」ってことで、そっちを選んだ。
西表島といえば、イリオモテヤマネコに、密林のようなマングローブではなかろうか。
私たちはマングローブでカヤックをすることにした。と言っても装備がないので、ツアーに申し込んだ。
申し込んだのは「そとあそび」というサイト。「西表島 カヌー」と検索すれば、無数にヒットする。
私は今回、フェリー乗り場からカヤックスポットまでの送迎付きで、もちろん一式もレンタルできて、最後には由布島へのチケットもついた1人1万円のツアーにした。
8:30 石垣島からフェリーで西表島へ
ツアーの前夜にツアー会社から電話が入り、「明日は8:30の大原行きへ乗ってください」と言われた。石垣島〜西表島は2つの港があり、その日の天気によって、大原行きか上原行きが決まるという。私たちは行き先を違わぬようしっかりメモした。
フェリー乗り場は活気があった。竹富島や他の島へもこのフェリーから行けるから、交通の要所だ。
船でモーニングするための食料を調達する。お弁当にサンドイッチ、充実しているからフェリー乗り場で買えば問題ない。
沖縄といえば「ポーク卵結び」が名物。おにぎらずの格好で、スパムが挟んである。んまい。
乗船の案内があった。どうやら2船に別れて西表島へ行くらしい。
私たちが乗る「安栄観光」のフェリー。1時間の乗船というのに、割とちっちゃめ。
出発の時間になった。眺めがいいだろうと、わざわざ外の席に座って、昨日スーパーで買ったあんドーナツをぱくつこうとした。
その時!
ぶお〜〜〜ん
すんごい音とともに船が発車した。なかなかの勢いだ。船は軌道にのるや、どんどんスピードを増して行く。
こ、これは・・・・
写真では臨場感が伝わらないが、とてつもないスピードだ。髪は舞い上がり、食事どころじゃない。話しても言葉が聞こえない。ってか物飛ばしそう・・
目の前に座っていた女子3人組も、最初はキャーキャー言っていたが、船が軌道に乗った途端、ピタとおしゃべりが止まった。この状況では話しても聞こえない、ことを悟ったのだろう。
にしてもすごい勢い。これで1時間も走るの!?
船は勢いを落とさず西表島へ近づいた。髪の毛はベタベタだわ、目が痛いわで、着いた時はすごかった。何かが体から抜けていった感覚がした。
フラフラしながら船を降りた。朝9:30。だいぶ疲れてしまった。
フェリーからマングローブへ
フェリー乗り場にはプラカードを持ったお兄さんがいた。ツアーには私たちの他に2人組が2組と1人の方がいた。計8人がバンに乗って、早速カヌーポイントへ向かった。
車の中でひとしきり説明があった。川の水は飲まないこと、荷物は防水バッグにきちんと入れること等。どこの川もそうだが、動物の糞などを川の水と一緒に飲んでしまうと病気を起こすことがある。
ポイントに着いたら、借りた靴に履き替え、ライフジャケットをつけ、オールの使い方を教えてもらった。
今回はカヌーというよりカヤックだ。カヌーといった方が伝わりやすいので、一般的にそう呼んでいるらしい。
カヤックは、向きたい方と逆のオールを一生懸命漕ぐと、方向転換できる。急停止したい時は、後ろの人がオールを垂直に地面におろすことによって、カヤックをストップできる。
説明はこのくらいで、私たちはカヤックに乗った。
ドスんっ
お尻から入るのがカヤックらしい。お兄さんが押さえてくれていたから揺れなかった。
私たちは早速漕ぎ出した。気持ちいい〜
いかにもなマングローブでのカヤック。今は満潮に近いため、水面から生えているように見えるマングローブにうっとりする。
なぜマングローブは水の中で腐らないのか?マングローブは塩に強いらしい。海の水と混じった水から塩を一旦吸ってしまうものの、それを葉っぱから吐き出すというのだ。だから海水に浸っていても元気に生えているのだ。
30分ほど漕いだら上流についた。というか山に着いた。私たちはカヤックを降りて川に入った。腰まで水に浸かる!なんか変な感じ。
ガイドさんに従って、山の上に登って行く。途中でハブに出ないように祈りながら、トカゲを捕まえたり、アダンの葉はカゴも作れるのよ、という話を聞きながら上に登って行く。
10分ほど歩くと、滝壺へ着いた!3mくらい上から滝が落ちている。私たちは岩場に立って写真を撮影。そして、滝壺にドボン!
思った以上に滝壺は深く、上まで這い上がるのに時間がかかった。水深3mくらいかな。ライフジャケット着けていなかったら、明らかに溺れてしまう。滝壺は海水じゃないから、浮かばないんだよ。
次は滝の上からジャンプ!!こんなの久しぶりだわ。カヤックの前にガイドさんから「川の水を飲まないように」と言われていたものの、これは無抵抗に鼻の中に入ってしまう。
ワーワー言いながら滝付近で泳いで、川遊びも満喫した。
帰りはまたカヤックで帰ろう。ちょうど潮の流れが山→川になる時間だったので、カヤックはスイスイと進んでいった。気持ちいい〜
途中に「アダン」の実があった。パイナップルのような見た目というよりは、ワンピースに出てきそうな悪魔の実?みたいなイメージだった。事実、作者の尾田さんは南の島が好きらしい。
スイスイとマングローブの中を進むカヤックは本当に気持ちよかった。曇りで暑すぎないのもよかったかも。
岸辺に着いたらライフジャケットと靴を脱ぎ、次は由布島行きの港へ向かった。
港で私たちは着替えて、由布島行きのチケットをもらった。どうやら由布島へは船でなく、水牛で行くようだ。
これぞ南の島〜〜♪ツノが素晴らしい水牛が、20人乗った車を引っ張って、向こう岸の由布島まで引っ張ってくれる。
途中、ガイドのおじさんが三振で島の歌を歌ってくれる。最高・・・
めっちゃ賢い水牛さん。体を冷やすために、常に水の中にいるらしい。暑いところ、苦手・・?
水牛の車に気持ちよく揺られながら、約15分で由布島へ着いた。
映画のセットのような由布島(ゆぶじま)
由布島に着いたらまずはパイナップルジュースのウェルカムドリンクがあった。ツアーの種類によって、リストバンドの色が違うので私たちはウェルカムサービスがあるツアーだったみたいだ。
帰りの水牛は2時間後ということで、さっそく由布島を練り歩く。
いや〜、どこを歩いても大きな熱帯系の林!映画のジュラシックパークみたいだ。人もおらず、ただただ静まり返った島に大きな植物が生えていて、すっごく変な感じがする。
これが先日居酒屋で食べたオオタニワタリ。およそ食べようとは思わない見た目。
由布島は夫婦によって島ごと観光地化された離島である。昔に強大な台風が降り立ち、島ごと半壊した。多くの水牛も亡くなった、そんな悲しい過去がある。
でも水牛は復活した。今は2~30頭ほどの水牛達が、元気にお客さんを運んでいる。2年前に子供も生まれた。
見えるかな?池に浸かっている水牛達が。水牛の控え室はもっぱら池の中なのだ。涼しいのが好きなんだね。
水牛は意外にも働き者?飼育員さんが来るとみんな外に行きたそうにする。
車を引っ張る時は、早めに待機する。すっごく大人しくて、近寄っても反応なし。
一応、角は巨大だから、角の方には近寄らないように言われる。
お尻は結構ゴツゴツしている。無駄なお肉がなく、筋肉隆々でかっこいい。
私はこの時、「あれ?水牛って、バッファロー?バッファローって、寒いところじゃない?」と疑問に思った。カナダやアメリカのバッファローが、水牛じゃないのか?
答えは、アメリカのバッファローは、水牛ではなく、アメリカパイソンらしい。私のようなアメリカかじりの人は混乱することが多いという。
アメリカパイソンは寒いところにいる。でも見た目も違うし、中身も全く別物だという。水の中にいないのに、なんでバッファローという別名があるのかな。
とにかく水牛は、暑いところにいる力持ちな牛さんのことだ。
私たちは食堂で八重山そばとラフテーを頼んだ。ラフテーうまし!
疲れたので食堂で一眠りし、また島をぶらぶら。歩けど歩けどジュラシックパークに、巨大な植物園感満載。
上の紫の花、不思議じゃないですか?茎の途中に紫色の花が咲いている・・・。
ハイビスカスも可愛い。
ジャングルぐるぐる
ビーチでパシャパシャもできるわよ。
島といっても、本当に小さく、1時間もしたら1周できてしまった。それより、暑くて死にそうだ。私たちは泡盛ジェラートが有名なカフェでアイスコーヒーとジェラートを頼んだ。
暑さで偏頭痛が起きている時は、アイスコーヒーがてきめんに効く。でも、今回は治らない・・・これは完璧に熱中症になってしまったようだ。
めったに来ない由布島だから、もっと色々みたいと思いつつ、熱中症が軽いうちに休もうという思いが交錯し、フラフラしながら花を愛でつつ、港へ戻った。
暑い・・・。今年は家から出ない日が多かったから、暑さに慣れていないのかな。汗が出ないよ・・
汗が出ないとか、マジで危険である。知らず知らず脱水するから、2時間で500mlの水を飲むペースで水分補給をしたほうがいい。
ジュラシック感がすごかった由布島。また水牛ちゃんに会いたいなぁ・・・。
フェリーで石垣島へ
由布島観光も住んで、西表島へ帰った。ちょうど干潮で、歩いて無料で帰っている人もいてなんだか不思議だった。
西表島でガイドのお兄さんが迎えに来てくれた。車で石垣島行きの港へ行く途中、1枚の葉っぱをちぎった。
なんでもない、普通の葉っぱ。
これは月桃(げっとう)と言って、お茶にしたり化粧品になったりするらしい。
そういえば昔、沖縄戦の映画を見た時に「月桃の歌」を聞いた。「6月23日待たず、月桃の花、散りました」という歌詞で、印象深かった。
この歌と、アブチラガマ(防空壕)へ行った経験をポスターに描いた。同級生の皆は海のブルーや、ハイビスカスの赤を基調にした絵を描いていた中、私はそれを灰色のガマで囲んで絵を描いた。一人だけ灰色の絵を描いていたから、全員の絵画を張り出した時に皆から「なぜ灰色?」と言われてしまった。決して沖縄は楽しいだけじゃないイメージが私に残ったからだ。
沖縄は海が美しく、人ものんびりした楽園にように感じるが、歴史を振り返ると決して「底なしに平和」な歴史ではない。
それでも内地(沖縄以外)から来た人には優しくしてくれるし、沖縄の美しさは資源だから観光にも力を入れている。
月桃と聞いた瞬間、すごくしんみりした気持ちになってしまった。
ガイドのお兄さんは昨年西表島へ移住したばっかりで、奥さんは妊娠していたから出産後に後追いでこちらに来たそう。西表島に婦人科はないのだ。
関東出身で昔から島が大好きで、ずっと移住願望があったとのこと。
そしてやはり!島のオキテは厳しいらしい。どの地区に入るかによって、登竜門の厳しさが変わるみたいだが、「あのおじいさんは大変」という、長老がどこにもいるという。
お兄さんは「正直、人間関係は大変。だけど海が綺麗で、自然は本当に最高」と言っていた。わかる、私もど田舎出身だから・・一長一短なんだよねぇ
帰りは揺れないフェリー
さて、西表島から石垣島へ帰る。帰りも、来た時と同じ、あの凄まじい風の小型船か・・・と思いきや!
めちゃ大きい船だった。室内の冷房が効いた部屋に入れたし、何より風がない。寝れる!
移動の空間も大事だねぇ・・・と思いながら私たちは夢うつつで、石垣島へ帰っていった。
夜ご飯は驚異のコスパの穴場店
西表島から帰り、休む間も無く私たちは夜ご飯を探しに出かけた。
歩いてユーグレナモールへ向かう。
途中でスコールにあった。傘は持って来ていない。
30分ほど私たちは学習塾の軒先で雨が上がるのを待った。写真では分かりにくいが、とてつもないスコールだ。ちょっとでも歩けばビショビショになる。
ようやく雨足が弱まったので、急いでモールへ行った。着いたのが19時過ぎということもあり、半分近くの店が閉まっていたが、私はモールでシーサーの形をしたアロマを購入した♪
夜ご飯は居酒屋へ行こうと話をしていた。まずは人気の居酒屋を開けると、
「いっぱいですー」満席だったようだ。人気だから仕方ない。
次は普通の居酒屋を開ける。
「予約でいっぱいなんですー」
あら?不穏な空気が立ち始める。
3軒目、ここは人が少ない。
ガラッ、あ、結構狭いのね。「あ、いっぱいですー」。
4軒目、「いっぱいですー」
5軒目、「いっぱい・・」
私たちはどんどん町から遠のいた。沖縄の休日前はこんなに居酒屋が混んでいるのか!?すごいぞ、どこも空いていない。
町からしばらくしたところでアタックしても、またもやいっぱい。
すると角に新しいお店があった。お客さんは少なそうだ。
こう、どこも満席なのに、極端にお客さんが少ないと身構えてしまうのが人間の本能。
私たちは恐る恐るお店に入った。
店内は清潔で広々としていた。お客さんは1組しかいない。
とりあえず野菜チャンプルーとビール。うん、間違いなくうまい。
メニューに「今日のお魚」があったので、見せてもらった。煮付けにするらしい。すると!
どん!
え、これ・・・今日の魚!?
見たことないのばっかり!
オススメは一番上の、「ミーバイ」というハタの魚だという。というか高級魚らしい。
なんとお兄さんはこのミーバイをそっくりそのまま煮つけて来た!まじか!
味は弾力がありつつ柔らかく、今朝獲れということで臭みは全くない。や、やばい・・・うますぎる・・。
そして驚くべきはこのお値段!いくらかな?2,000円近くすると思うよ。普通。それが・・・
800円
やすっ・・!
この魚は朝に社長が釣り上げて来た魚らしく、値段は時価。いやいや、高級魚でしょ。
お兄さんは全く商売っ気のない感じで、淡々と美味しい料理を持って来た。や、やばい、すごいお店見つけた。
お店の名前は「だいじゅ」と言う。新しいお店だからまだ口コミも少ない。
私たちは半ば申し訳ないくらいにたらふく美味しい料理を頂いた。
「居酒屋だいじゅ」ここはすごい・・・魚好きは絶対マークのお店である。
さようなら石垣
石垣3泊4日の旅はこれで終わった。明日はまた飛行機で東京へ帰る。
暑くて、綺麗で、美味しい石垣・・・・また行きたい・・・。帰路で私は早速秋の旅行計画を立て始めた・・・。