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天空の城ラピュタのモデルとなった城“スピシュスキー城”も訪問 〜スロバキア世界遺産の旅

こんにちは!Kayoです。今日は東欧トラベラーさんからの寄稿です。

みなさん、”スロバキア”って聞いたことありますか?スロバキアは日本とワーキングホリデーの提携を結ぶ数少ない国の一つです。今回はワーホリで行く人も、観光で行く人も役に立つ「スロバキアの穴場スポット」を東欧のコアなファンが教えてくださいます!

 

天空の城ラピュタのモデルとなった城スピシュスキー城も訪問

~マイナー国家の世界遺産は穴場スポット~

 

 

スピシュスキー城インターネットで見たその画像に釘付けになった。世界に数ある城の中でもその雄大な姿は一際目を見張った。しかもあの宮崎駿の名作「天空の城ラピュタ」のモデルにもなった城らしい。

 

「何だここは?今まで知らなかった。いったいどこにあるんだ?」

 

その城がある国は東欧のマイナー国家スロバキア、、、

 

スロバキア?と思うのも無理はない。

その昔はチェコ・スロバキアという1つの国であったが、その後チェコとスロバキアの2つに分裂した。チェコは首都プラハに代表される美しい街並みが有名だ。屋根のない美術館なんて言われるくらい毎年多くの観光客を魅了している。

それに比べ、スロバキアというと今ひとつピンとこない。首都のブラチスラバはヨーロッパ1退屈な首都と揶揄されるくらいだ。そんな超地味はスロバキアスピシュスキー城が存在する。華やかなチェコ地味なスロバキア両方比較してみたい。そんな思いから両国を訪れることにした。

「天空の城ラピュタ」のモデルにもなったスピシュスキー城

 

~名所がない第二の都市コシツェ、無人の世界遺産都市バルデヨフ~

 チェコの首都プラハから飛行機で1時間半程度、スロバキア観光の拠点としているスロバキア第二の都市コシツェに到着した。明日には目的のスピシュスキー城を訪問する予定だ。その前に軽くコシツェの街を散策してみた。しかし、

 

どこの名所も閉まっている、、、

 

これでもかという程、どこも開いていない。ただでさえ退屈そうな街なのに行くところもない。さっそく行き詰ったスロバキア観光だが時間はまだ正午、少し遠出していけるところはないだろうか?ガイドブックを見ていると、コシツェからバスで2時間程行ったところにバルデヨフという世界遺産に登録されている街があることが判明した。

 

以外に近くに世界遺産。気づかなかった。これは行くしかない。

  

コシツェのメインストリートだが人は少ない       

脇道に入るとこのとおり、、、

 

さっそくコシツェ駅に隣接するバスターミナルからバルデヨフ行きのバスに乗り込んだ。コシツェ市内を出るすぐに田舎の風景へと変わった。内陸国であるスロバキアはいくつも小高い丘陵地帯が連なっている。その風景は自分が思い描いていたヨーロッパの田舎風景その物だった。牧歌的でとても美しい。見ていてまったく飽きが来ない。

出発が昼過ぎとなってしまったため、到着した時刻は15時半くらいになってしまった。念のため帰りのバスの時刻も確認しておこう。するとコシツェ行きの最終バスは17時となっていた。マズい!これじゃ1時間程度しか居られない。早足で街を散策する。

 

 

が、世界遺産にも関わらずほとんど人がいない。

 

 

中世時代のヨーロッパにおける要塞都市の姿を、現代に伝える代表的な街として世界遺産に登録されたバルデヨフだが、街は閑散とし、店は閑古鳥すら鳴くのを諦めたくらいだ。ただ、その街並みの美しさはさすが世界遺産と呼べるものであった。ラドニツネー広場を中心にオレンジ色の瓦屋根をもつパステルカラーの家々が整然と並び、広場の中心に建つルネサンス様式の旧市庁舎、ゴシック様式の聖エギディウス教会が合わさった街並みは、夕日を浴びながら昂然と輝いて見えた。むしろ人が居ない方が哀愁感も手伝ってより魅力だ。

世界遺産となると大概は人だかりでいっぱいだが、こんな無人の世界遺産というのも悪くない。僅かな滞在ではあったが満足であった。ただし、帰りのコシツェ行きのバスは時間が過ぎていくら待っても来なかった。列車もあったのだが、薄暗い無人駅で誰もいなかった。時刻表を見るともうすぐ列車が来るようだが、このままあの世にでも行ってしまいそうな雰囲気を漂わせていたので乗るのを諦めた。コシツェに近いレボチャまで行けば何とかなるか?と思いレボチャまで行ったらコシツェ行きのバスが出ていた。予定が狂えばすぐに代替案を実行するこれも旅に必要なスキルである。夜20時にコシツェ着いたが、そこは第二の都市と思えないくらい閑散としていた。はっきり分かったことがある。

 

 

スロバキアは田舎だ、、、

  

バスに乗り10分もすればこの景色   

何でもない景色も絵になる

世界遺産の街とは思えない程閑散としている。           

旧市庁舎

  

聖エギディウス教会                

ラドニツネー広場

 

~スピシュスキー城に向かうはずが、、、~

この日はいよいよスロバキア旅行最大のハイライトとなるスピシュスキー城へ向かう。コシツェからバスで1時間半程で到着する予定であった。しかし、やってしまった。車窓からスロバキアの田舎風景を眺めているうちにウトウト、、、目が覚めたときにはもう既に遅かった。時間を確認する限り、もう到着していても良いころだ。恐る恐る近くの人に

 

Spišské Podhradie(スピシュスケー・ポドフラディエ)?」

 

とスピシュスキー城の最寄街の名を尋ねたが、ぶっきらぼうな顔で首を横に振られ、良く分からない言葉(おそらくスロバキア語)で来た道と逆方向を指差した。

 

しまった!やってしまった、、、

 

とりあえずここがどこなのかさっぱり分からないので、バスの終点であるポプラド・タトリーまでに行くことにした。ちなみに明日ポーランドに向かうのにここを通ることになっていた。無駄な予習をしてしまった。再び来た道を戻り、予定より大幅に遅れてスピシュススキー城の城下町であるスピシュスケー・ポドフラディエに到着した。

 

~圧倒的な存在感!世界遺産スピシュスキー城~

城下町スピシュスケー・ポドフラディエを降りるとすぐにスピシュスキー城の雄大な姿を目にすることができる。これはかなり期待できそうだ。併せて城下町の雰囲気も楽しみたいところだが、城下町とは名ばかりで城に向かうまでの道は荒廃しており、ボロ屋が軒を連ねていた。飲食店や土産屋もほとんど無かった。城に向かう観光客もまばらだ。昨日のバルデヨフといい、スロバキアはほとんど観光に力を入れていないのだろうか?これだけのスケールの城があれば、日本だったら大挙を挙げて観光客が舞い込み、その付近の商店街も活気付くであろう。実にもったいない。

 

スピシュスキー城は小高い丘の一番上に堂々とそびえている。そこまで道のりはほとんど舗装されていない砂利道をひたすら登ることになる。およそ30分掛けて城に到着した。外から見ても分かるが城は半壊している。現在スロバキア政府が修復しているようだが、どこにもそれらしき感じはしない。廃墟となった城にほぼ近い状態だった。城内は質素なレストランや土産屋がある程度だ。そんなのより、城内をたっぷりと楽しんでくれということか?城内を散策していく。

まるでリアルRPGの世界を探検している気分になってきた。城内の一番高い塔まで登ってみた。そこからの景色は「最高」の一言に尽きる。半壊した城の壁、城壁、石畳の床と緑の絨毯のコントラストが本当に美しい。麓に広がる光景は、まさに中世の街並みそのもの。美しい自然と一体化した街の眺めは、先程は貧粗に見えたが逆にそれらが周りの緑とのコントラストをも引き立て、ヨーロッパ有数の巨大な廃城としての魅力を演出していた。

 

これはかなり当りだ!

 

これ程素敵な麓の町、立派な城があるにも関わらず、世界遺産の観光地のイメージとは少し異なるのんびりムードがあり、穴場スポットを見つけたような気分にさせてくれた。

 

スピシュスキー城までの道のりは徒歩のみ           

かなりのど迫力

中は廃墟、復旧が急がれる         

城からの景色は最高の一言に尽きる

 

~落書きだらけの不気味な幽霊列車~

 スピシュスキー城で十分すぎるほどの満足感を得てコシツェに戻ることになった。が、帰りのバスが2時間後であった。のんびり市街を散策するのも良いが、歩きすぎて正直疲れた。雨も降りだしてきたのですぐに帰りたい。時刻表を見てみると最寄駅のスピシュスカー・ノバー・ベス駅行きのバスがもうすぐ来る。ガイドブックを見る限りコシツェまで行けそうだ。少し寄り道になるが列車で戻ることにした。

スピシュスカー・ノバー・ベス駅に到着したが、駅は照明も点いていない。雨天も手伝って薄暗く不気味な雰囲気を漂わせていた。列車を待っている人々もどことなく元気がない。コシツェ行きの列車は30分後に来る予定だ。バスでここまで来る時間と列車を待つ時間を考えれば、2時間待って街を散策するのも悪くなかったと今さらながら思った。もう遅い。薄暗いホームで列車を待つ。途中何本か列車が停車したが、そのどれも旧ソ連製を思わせる古びたディーゼル車だ。どの列車も派手に落書きされていた。やまない雨、薄暗いプラットホーム、落書きだらけの古びた列車。これだけでもホラーの要素が十分だ。

 

 ようやくコシツェ行きの列車が来た。やはり落書きだらけの古びたディーゼル列車だ。勇気を出して車内に乗り込んだ。車内は暗かった。駅と同様に照明が点いていなかった。そしてボロい。もうホラーの世界だ。子供連れもいたが皆一様に大人しい。賑やかさはまったくなかった。途中停車する駅は全て山中の駅ばかりだ。そんな駅でも一人また一人と降りていく。最終的に自分の乗っている車両には自分を含め3名ほどしか乗っていなかった。一向にやまない雨、そして日が沈みかけていく。車内がより暗くなっても照明はまったく点かない。というかそもそもこの列車に照明は付いているのだろうか?そわそわ落ち着かない自分とは裏腹に列車はノロノロとたっぷりと時間を掛けてコシツェに到着した。

 

早く人がいるところに行って落ち着きたい。しかし、コシツェの街はやはり人もまばらで静かであった。時々大音量で暴力的なダンスミュージックが聞こえてくる店を通り過ぎるも、いかつい方々が酒を煽っているだけで、そこに混ざろうとは思わない。メインストリートでようやく落ち着いた雰囲気となった。夕食で入ったレストランの店内の明るさでホッとすることができた。しかし、少し長めの夕食を済ませて外を出るとやはり人通りがまばらになっていた。第二の都市の夜は早い。そして、改めて思った。

 

スロバキアは田舎だ、、、

暗く閑散とした駅               

書きだらけの幽霊列車

  

街のレストラン、もう少し明るくしてほしい   

第二の都市とは思えない程静かさ。まだ20時です。

 


【Kayoコメント】

こ、これは・・・・”世界一退屈な街”の異名で知っていたスロバキアでしたが、退屈というよりは逆にスリル満点な旅ができそうですね。私たちが知っているヨーロッパとはトコトン違った味の東欧、スロバキア。しっかり情報収集して、古き伝統の遺産を味わいたいですね。東欧トラベラー、”なべ”さん、どうもありがとうございました!

ABOUT ME
bonkayo
SE、ソムリエ、旅人、フリーライターを経て、フルリモートで会社員中。2歳娘と夫と3人暮らし。