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ポーランド3つの世界遺産を巡る旅 ~アウシュビッツで強制1泊、親日ポーランド人にご用心~

こんにちは!Kayoです。今回は東欧、ポーランドを旅された男性からの寄稿です。読んでもらうと分かりますが、スッゲー濃い経験をされているので、是非読んでください!!

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ポーランド3つの世界遺産を巡る旅~アウシュビッツで強制1泊、親日ポーランド人にご用心

東欧を旅行した多くの人が言う一生に一度はアウシュビッツに行くべきだ

この年、チェコ、スロバキア、ポーランドの3か国を巡り、最後に訪れたのがポーランドである。スロバキアのポプラトタトリから夏季限定で運行しているバスに乗り込んだ。タトラ山脈を越え、国境の街ザコパネを経由し、美しく緩やかな丘陵地帯をいくつか越えて走ること約4時間、ポーランド旅行の拠点である古都クラクフに到着した。

これぞヨーロッパの田舎風景。緩やか丘陵がいくつも続く。

~街そのものが世界遺産「古都クラクフ」~

 クラクフは日本で言う京都である。首都ワルシャワは第二次大戦中にナチスドイツによってその大半の歴史的建造物が破壊されてしまったが、ここクラクフは戦火を逃れたため、昔ながらの建物がそのまま残っている。旧市街は街そのものが世界遺産に登録されている。ヨーロッパは、街ごと世界遺産に登録されているケースが多いが、クラクフもその1つで昔ながらの景観をそのまま保っている非常に趣のある街だ。旧市街の一部は城壁に囲まれている。旧市街北方にあるフロリアンスカ門はまさのその代表格だ。門を抜け、フロリアンスカ通りを直進すると、旧市街の中心である中央広場に着く。織物会館、聖マリア教会などの歴史建造物があり、広場では様々なパフォーマンスが披露されている。さらに奥に進むと、この街のランドマークとも言えるヴァヴェル城が見えてくる。近くから見ても、遠くから見てもその荘厳な建物は一際目に留まる。すぐ隣を流れるヴィスワ川と合わさった景色も何とも言えない。城内の主要観光スポットとして王宮大聖堂がある。歴代の王が眠る棺大鐘フランドル産タペストリーなど膨大なコレクションが見ることができる。ただし、あいにく館内撮影禁止だった。

  

そんないかにもヨーロッパの華やかな城下街と言ったクラクフだが、ここにも負の歴史の爪痕が残っていた。ナチス統治時代から残るユダヤ人居住区であるカジミエシュ地区である。映画「シンドラーのリスト」の舞台にもなった場所で、中はガイド付きで名所を巡る簡単なツアーもあったが、ゆっくり歩くことにした。映画でも登場するユダヤ人街跡5つの教会ダビデの紋章ユダヤ人墓地、一気に暗い影が落ちてきた。歴史教育には最適かもしれないが、歴史のお勉強をしに来たわけでもなく、その上気分が滅入るので早めに退散した。

~負の世界遺産アウシュビッツで強制1泊~

 ポーランド旅行最大のハイライトであるアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に向かった。クラクフからバスで2時間程度と聞いていたが、行けどもまったく着く気配がない。途中何人も下りていき、終いに乗客が自分を含め4名になってしまった。しかも、途中何もない畑のど真ん中で謎の停車。20分くらい経っても発車しない。しかもこの時点で予定所要時間の2時間は超えている。バスの故障?乗るバス間違えた?不安になってきたので、運転手に「Is this bus bound for Auschwitz Birkenau?」と聞くと運転手はポカンとした顔で自分を見る。英語が通じない。もう一回「Auschwitz Birkenau?」と聞き直すとぶっきらぼうなに顔を縦に振る。間違ってはいないようだ。するとボロいワーゲンバスが1台来て停車した。乗客が次々と降りていき、そのバスに乗り込んでいく。運転手はそのバスを指した。それに乗れということか?こんな畑のど真ん中でバスの乗り継ぎをするとは思わなかった。結局この運転手は一度笑顔を見せなかった。

 予定より1時間遅れでアウシュヴィッツに到着した。アウシュヴィッツの見学は団体旅行客をメインで受け付けている。繁忙期(4月~10月末)の10時~14時は、ガイド付きの団体客としてでしか見学できない。個人で見学する場合は、10時前または14時以降の見学となる(ただしビルケナウはこの限りではない)。団体行動が大嫌いな自分は当然個人で見学。中は長蛇の列を成していた。当然と言えば当然かと思ったが、入場料無料のこの施設はスムーズに受付が進み、思っていたより楽に入場できた。入り口には“ARBEIT MACHT FREI(働けば自由になる)の一文が掲げられている。収容所内は有刺鉄線で囲まれていた。これで脱出は不可能となった。

 収容所内の数々の展示物から死を連想させられる。主な展示物は次のようになっている。

バラック4:絶滅

バラック5:犯罪の証拠

バラック6:収容者の生活

バラック7:収容環境

バラック11:銃殺刑の前

その他:絞殺刑、ガス室(死のシャワー)、火葬場

上記テーマ合った物が展示されていた。毒ガスに使用されたチクロンB刈り取られた女性の髪の毛収容者たちの鞄や靴洗面用具、写真。そのどれも絶望や恐怖に包まれていた。見れば見るほどテンションが下がる。

 毒ガスに使用されたチクロンB             銃殺刑の前

次はアウシュヴィッツからシャトルバスで乗って10分ほどの場所にあるビルケナウに向かった。ビルケナウアウシュヴィッツの象徴として映画や書籍などで見られる「強制収容所内まで延びる鉄道引込み線」の他、監房トイレシャワー室(ガス室?)証拠隠滅のために破壊されたと思われる建物跡がある。リアリティを出すためか?中は電気を通しておらず、不気味さをより一層演出している。ビルケナウアウシュビッツに比べて展示物は殆どなく、だだっ広い敷地に線路と無機質な建物が並ぶだけだが、この簡素で無機質な風景は、ある意味アウシュビッツより恐怖を抱く。

  

さて十分に恐怖と絶望を体感し、早く華やかなクラクフに帰って夕食でも取ろう。再びシャトルバスに乗り、アウシュビッツに戻る。しかし、ここでハプニング発生!何とクラクフ行きのバスがもうなくなっていた。何故だ?アウシュビッツの閉館時間は、夏季シーズンということもあり、19時までやってる。しかし、クラクフ行きの最終バスは18時とのこと。しまった!事前に確認しておくべきであった。だがまだ帰える手段はある。鉄道だ。アウシュビッツから徒歩で15分程にオシフィエンチム駅がある。薄暗くなってきた道を急いで駅に向かった。駅が見えてくるが中の灯りがない。嫌な予感がする。中に入ると帰り支度をしている駅員数名がいるのみ。とりあえず「Are there any trains bound for Kraków」と言ってみるも、予感的中。鼻で笑われながら首を横に振られる。鉄道もダメ。ヒッチハイクはどうだろうか?アウシュビッツには車で来た観光客がまだ結構居たはずだ。そう思い再びアウシュビッツへ向かう。辺りはすっかり暗くなり、薄暗い街灯の灯りがどことなく恐怖を駆り立てる。駐車場に付いたが、車は僅かしか残ってなかった。目に留まる車全てに駆け寄り「Do you go to Kraków?」と尋ねるも全てノーであった。誰か一人くらいクラクフから来ててくれよ。ていうか、これほど有名な観光スポットで、閉館時間前に全ての公共機関がなくなるなんて日本ではあり得ない!まあここは海外であり、そう言った常識は通用しない。最初に確認していなかった自分がいけないのだ。焦りと恐怖で追い込まれていく。 そうここはアウシュビッツ。大勢の人が殺され、遺棄された場所。言わば世界最大の墓場で心霊スポットなのだ。墓場で一泊?いや落ち着け!駅の近くにホテルがあるはずだ!しかし、アウシュビッツに来てからもう何時間も歩きっぱなしで体力は限界に近い。どこか近場にホテルはないものか?すると、灯台もと暗しと言ったもので、すぐ目の前にホテルがあるではないか。暗闇の中ポツンと1件、森の中を彷徨ってようやくたどり着いた御屋敷のように(見えた。実際は普通のホテル)、道に迷った自分を迎えてくれた。墓場の前にホテル?怪しい!いや待て、ここは有名な観光スポットだ。ホテルがあってもおかしくない。だがリアルにこんな目の前のホテルなんて怖くないか?幽霊とか出てこないかな?様々な思いが駆け巡る。とは言っても八方塞がりの自分はもはやここに泊まるしかない。恐る恐るホテルの中に入る。中は至って普通の清潔なホテルだった。「Do you have any rooms tonight?」ここで断れたらもうお終いだ。頼む!そんな思いでスタッフに尋ねる。すると笑顔で「Sure! Everything OK!夏季シーズンだと言うのに、どのタイプの部屋も空いていた。人気ないなあ〜、まあ誰も墓場の前で泊まりたくないよな。墓場の前にホテルは、立地と客が殆ど入っていないこと抜かせば、至って普通のホテルであった。怪奇な心霊現象もなく、新たなお友達ができる(取り憑かれる)こともなかった。翌朝のアウシュビッツは、昨日どんより雲とは打って変わって、青空が広がる晴天となった。そこに昨日感じた恐怖と絶望はなかった。

帰りは鉄道を使うことにした。再びオシフィエンチム駅に向かった。だが相変わらず人がいない。朝は列車が殆ど出ていないようだ。ホントここは田舎なんだな。結局2時間待って、ようやく列車は出発し、念願のクラクフに帰還した。

  

夜は心霊現象に怯えたが明るくなると普通のホテル

~ヴェリエチカ岩塩抗と謎のフレンドリーポーランド人~

クラクフ近郊にはもう一つ世界遺産がある。ヴェリエチカ岩塩抗である。クラクフから列車で20分程度到着した。中はガイドなしではいることはできなかったため、仕方なく英語ガイド付きで坑内を巡った。岩塩が取れたということもあり、あちこちで塩がこびりついている。しかし、坑内の展示物はどうも統一性に欠けるものであった。世界遺産らしい豪華絢爛なシャンゼリゼが特徴的な地下礼拝堂、光るマリア像があり、その反面中途半端なテーマパークを思わせる人形の数々。どことなくディズニーランドのカリブの海賊を連想させる。約1時間程のツアーを終え、再びクラクフに戻る。

  

日が落ち始め、辺りが少しづつ暗くなり始めた。帰りの列車でこれまた面倒な目に遭う。何故か列車の中は誰一人乗っていない。しかも電気が点いておらず、薄暗い。何回かヨーロッパの列車に乗ったが、灯りが点いていない場合がある。怖い列車の3大条件は「暗い、ボロい、人がいない」だ。日が差してる分、まだマシではあるが、昨日のアウシュビッツの恐怖が蘇ってくる。その中、1人の男が乗り込んできた。目が合うなり笑顔で「Hello」と声を掛けてきて、なぜか自分の隣に座り始めた。

男「Are you from?」

自分「Japan

男「Oh! JapanGood!コンニチワ。」

と言った感じで会話が始まり、自分が何し来たのか?ポーランドはどうだ?などと質問してくる。ポーランドは親日国だと聞いていたが、これまでそんな印象はなくむしろぶっきらぼうな感じであったポーランド人、ようやくここに来てフレンドリーな人に会うことができた。しかし、話していくうちに少しづつ男の異変に気付き始めた。男の笑顔は、フレンドというより、ニヤニヤした不気味な笑顔に見えてきた。どことなく落ち着きもない。すると男はタバコ吸う動作をしながら

男「Do you smoke?

自分「Yes. This is my friend.

と言って自分のタバコを見せた。すると男は、

NoNoNo~、I have good item.

と言い、ポケットから葉っぱのような物を取り出した。そして、自分のタバコを1本取り出し、器用に紙を剝がし、中の葉っぱを取り出して、その謎の葉っぱと入れ替えて再び紙を包み始める。以前オランダのアムステルダムの喫茶店で見た光景を思い出した。っておい!!これは気持ちよくなってしまうお薬ですか?やばい!こんなところ人に見つかったら日本に帰れなくなる。このニヤついた男の非常が段々薬中の顔に見えてきた。慌てて

自分「No thank you! It’s enough! Good bye!

猛ダッシュで逃げる。

男「Hey you! Stop! We are friends

薬中とはお友達にはなれません。幸い男は追ってこなかった。次の駅を急いで降りた、、、

恐怖のアウシュヴィッツと謎の薬中男、新日国家のポーランドは自分にとっては苦い思い出となった。ちなみに料理の話をしていなかったので、少し話すとポーランドの名物料理はピエロギという少し餃子に似た食べ物がある。餃子と思って食べてはいけない。脂っこく胃に重くズシっとくる。ヨーロッパの料理は大概この手の物が多い。あまり期待してはいけない。

  

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旅人だからといって「負の世界遺産」も必ず見る必要はない。ただ、たまに過去を学び、考えることで今を見つめると、また新たな視点が生まれます。たまには立ち止まり、後ろを振り返る旅もいいものではないでしょうか。

それにしてもすごい経験ですね。みなさんも一人旅をするときはご用心!( ´ ▽ ` ) by Kayo

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bonkayo
SE、ソムリエ、旅人、フリーライターを経て、フルリモートで会社員中。2歳娘と夫と3人暮らし。